九月三日

 前回の日記を書いてから一ヶ月近く経っているし、書くべきは日記というより"月記"なのだろうけど、ぼくはひと月も昔のことを語れるほどは記憶力に自信がないためここ数日のことを書いて済ませる。


 インターネットはやはり1の利に対して983716482くらい害があるのでこの日記とともに離れようかな、と思う。むしろこの日記を継続しようかなというくらいだ。


 さて日記。書誌情報は脚注にまとめて示すことにする。
 先日(昨日)横槍メンゴ『一生好きってゆったじゃん』*1という短編集を読んだ。横槍メンゴはぼくの好きな漫画家の一人なのだが、これは横槍メンゴを(ぼくに対して)より好きにさせるには十分すぎる短編集だった。ツイッターでも書いたように、この短編では人の「何も無さ、欠落」と「祈り」、それも「歪んだ祈り」が様々なイメージ(イマジナリー天使、かわいさ、不倫、etc...)に宿りながら描かれている。「一本花」では綺麗で創造力のある"憧れる"同級生に対する一方的な「祈り」が、そして完璧に見える人間の「欠落」が、そういう祈りが生涯の(ある種の)「呪い」と化すことが描かれる。ぼくのような拗れた人間には何倍も刺さってしまう話だった。個人的には「Stand by you」「「かわいい」」「一本花」「南無阿弥だいすき」がお気に入りである。横槍メンゴの言葉選びにはときにすごく響くものがある。
 今は先輩に誘われてあるトポロジーの本のゼミに参加しているのだが、そこで学部3,4年の知識や能力にものすごく刺激を受けた。自分の数学に対する(精神的な)身の振り方のようなものを考え直す契機にもなった。それにゼミの内容も面白い。最高。
 哲学書の読み方、というとそんなもの無い! と怒られそうだが、数学書を読むにはそれなりの訓練が必要であるのと同じように哲学書を読むにも訓練というものが必要であり、そういった経験知を指して「読み方」と言っているのだと納得してほしい。「読み」という語の語義を明確にしようとするとこれまた面倒な言葉遊びの渦に飲み込まれてしまうが、ここでは「読み」=「誤読しない」と逆照応的に思ってもらっていい。さてわざわざ長い導入を書いたのは中島義道『哲学塾の風景』*2と伊原康隆『志学 数学』*3の共通点に関して語るためである。最近『志学 数学』の最初の方をよく読んでいたのだが、そこに出てくる「(中略)それ以上に大切なのは一人で本格的な書物を考え考え読むこと」「ゆったり、ゆっくり」「くっきりとした理解」といったキーワードが印象的で、中島が『哲学塾の風景』の中で(明示的には言ってないものの、)「テクストの記述を慎重にゆっくりと読解していく」ということをまさに実践していたり、塾生への問いでは「その答えはカントの原文をちょっと変えて繰り返しただけじゃないか」「そうなんだが、それはどういう意味か、自分の言葉で言いかえてくれないか」という返答をしていたことを思い出したのだ。畢竟するに両者は「咀嚼されたもの」としての理解を要求しているわけだ。咀嚼のためには徹底した自問自答と根気が要求される。伊原はこれを数学に対して「考えながら読む」「数学は「自分の頭の中に生命をもって生長していくもの」に少しづつなっていく」と表現している。よく噛んで食べるというのは健康に良いわけだが、なるほど勉強においても有効なようである。これはかなり学問で普遍的な方法であるように思う。ぼくがアウトプットをできるだけ意識しているのもここにあり、速さや量を誇る人間はフェイクだという思いがあるのだ(これは自戒も兼ねている)。研究となるとそうはいかないだろうが、勉強はゆっくりでも透明な理解を目指そうというところだ。
ちなみに誤読に関しては『哲学塾の風景』の解説を書いている入不二基義の『哲学の誤読』*4もオススメである(蛇足)。
 寺山修司の『青少年のための自殺学入門』は結構面白かった。
 『現代英文法講義』を読んで情報構造について纏めたいという感情があるけどまだ着手できてない。
 入間人間の『安達としまむら』9巻は10月10日発売予定!!!! ウオオオオ!!!!
 最近ラーメンを食べていない。「具体的には神泉のらぁめん屋うさぎ」という銀河系で最も美味しいラーメンを提供する店に行けていないのだ。人生が始まらないとはまさにこのことだろう。本当に食べたい。

 受験の話。
・英語は『ヘミングウェイで学ぶ英文法』が楽しい息抜きになる。とても良い本。受験英語の息抜きとして英語が勉強できるのはいいよね。
・数学はまあもう過去問をひたすら解く感じである。単調。
・理科は知識の整理と問題どっちもやるのである意味一番大変。頑張る。
・国語と倫政は置いてけぼり。
 なので英語のウエイトを理科に割くべきなんだよなぁ。分かる。でも英語楽しいんだもん。


 まあこんなところです。受験頑張るぞ〜〜💪 現役のときよりやる気ある。