七月十五日

 ちょうど七月の真ん中なのでキリがいいですね。インターネット・辞世の句です。

 辞世の句を考えるという行為は自殺の延長になる、と思う。少なくともぼくは、辞世の句と言うからには繊細な言語で、かつ今際の際まで飄々としているような短歌を詠みたいと思うし、そうするためにはまだ言葉の欠片が足りないまだ死ねないと思う。
 前に自殺は哲学の実践という観点からは許容できないみたいなことを話していて、要するに自殺した瞬間に自殺に関する思索の放棄を意味してしまうと思っていた。もちろん行為自体を否定はしないし、そこに倫理的反論をつけるべくもないのだが。

 哲学を「この複雑な世界に分け入る斧」のように言う人がいるけれども、ぼくは哲学(をする)というのは火のようなもので、曖昧で見通しの悪い森のような世界に分け入る道具でもあり、かつ自分の身を今も今もこれからも焼いている、と思う。哲学に限らないけれども、学問的な病的なそういった知識というのは「やらなきゃいいのに引き摺られる」という点で役に立つの範疇を超えてくる。人間は「過去」についての考察などせずともビジネス新書を読んでおけば社会に適合できるのに、お気持ちで生きていれば楽なのに、哲学や理学をしてしまう。

 離れよう、と思ったのにさしたる理由はなく、きっかけと呼べそうなのは先日小説を読んでいるときにもっと自分の言葉を内面で溶かしておきたいと思ったことくらいである。言葉を大切に大切に内側で溶かしていれば、いつか言語で紡がれた蝶が現れると信じているからね。

 消える前にインターネット・墓標として積読リストでも置いておこうかと思ったが、リストアップが面倒でやめた。

 日記ぽいことを少し書いておくと、芳文社のセールでいくつか漫画を買った。それくらい……。

 そういうわけで(どういうわけで)ほんのちょっとの間ツイッターからはいなくなろうかな、と思う。ふらっと戻ることがあっても幽霊か何かを見たと思ってそっとしておいてね。

六月二十三日

 本棚、棚というほどではなく文芸書が入る程度の細い空間に本を並べた場所、を整理した。具体的にはしばらく(というのは大学の前期の間)読まなそうな本を避難させて代わりにゆったりとした空間を取り入れた。"三次元を自在に変形させる空間の匠"と呼んでもらって構わないよ。

 あとお勉強や読書の月の目標を立てた。これはその月に読むものややることに注力することで成果を散漫にしない、折角身につけたものを下げないといった効率性を考えたもの。ちなみに残り一週間で六月が終わるけど進捗は微妙なので頑張ります。言い訳をすると先週先々週は第1タームのテスト期間だったから少なからずそっちに労力を持ってかれた。

みんな大好きもーりーちゃんが最近読んでる本の紹介コーナー
行ってみよう。

『英文の読み方』(行方昭夫、岩波新書
これは受験勉強も兼ねた読み物ですね。物語文系は対策になるように思います。あとは「ニュアンス」ていう扱いの難しいものにもね。今月は計画を立てた段階が結構あとの方だったのでこれを読んだり熟語帳などをしたりくらいだけど、来月は英文解釈と英作文メインでやっていく予定ですね。

『批評理論入門』(廣野由美子、中公新書
まだ全然読めてない。リアルタイムで今読んでる本をリストアップしてるので。後半の批評理論篇よりも小説技法篇の方に目的があって、結構文学理論が広く(偏りなく)纏まっているように思う。

ユング心理学入門』(河合隼雄岩波現代文庫
ちょっと前に読み始めた。昔から人の心を分かることに難があったということもあり、かなり面白く読めている。心の実際に迫った記述が良い。

ウィトゲンシュタイン論理哲学論考』(古田徹也、角川選書
これまでウィトゲンシュタイン論理哲学論考』の入門書といえば野矢茂樹さんの本を推し続けていたが、これもスタンダードになりうる本だと思う。冒頭の説明が白眉で、『論考』を読む人への古田徹也医師によるインフォームド・コンセントのようなものになっており、言葉を選ばずにいえばここを立ち読みするだけでも入門の人には価値があるように思う。

みんなもっと大好きもーりーちゃんの積読コーナー
恥ずかしい。

響け!ユーフォニアム』(武田綾乃宝島社文庫
読まなければいけない。具体的には夏までにユーフォシリーズをある程度読み込んで夏にリズと青い鳥を観たいという感情がある(ので制約と誓約によりリズと青い鳥も観ていない)。

春期限定いちごタルト事件』(米澤穂信創元推理文庫
こちらも夏までに読まないと『夏期限定トロピカルパフェ事件』に進めないので勉強との都合を取りつつ読む。

やがて君になる 佐伯沙弥香について(3)』
買ったはいいが読めてない。早く読んで。ちなみに入間人間は夏に『安達としまむら9』を出すらしいのでこれも夏までに読んどきたい。夏までにばっかだな。受験勉強をしなさーーーい(しかるねこ)

してるが?

『現代数学への招待』(志賀浩二ちくま学芸文庫
志賀先生の書いたラノベ(言い方)一年後期に数学は多様体論に入りたいのでその準備として買ったけど普通に他の数学が忙しくてあんまり読んでない。

 あと受験の話をするとメルカリで『鉄緑会東大物理問題集』(どうでもいいがめちゃめちゃイカつい)を2000円ほどで買うなどした。これは新品で買うと倍の値段が付くアホみたいな本なのでメルカリを漁ろう。やっていくぞ。

閉会の言葉
 健康な精神は健康な読書と健康な(受験)勉強に宿るというかマジで勉強に対して適切に読書の重しをとることが大事。ちなみにそこをインターネットで置き換えると破滅する!w ではないがまぁ読書とかお絵描きとか自分自身の時間でバランスをとるのが大事だと思う。ちなみにわたしは毎日好きな勉強ができてかなり楽しいです。あと最近「やっぱり何か軸がないといけない」という思いになってじゃあ僕の軸になるものて何? となり数学をよくやるようになった。視野狭窄にならないように心がけるようにする、要するに柔軟性と確かな芯を両立するように心がけるのをその次のステップにしています。

六月三日

 近所に行きやすい公園がないのはかなり人生の質を下げるなと最近感じている。でも散歩も兼ねて行くには結構ちょうど良い座標に大きめの公園があったので、今度から気分転換したくなったらこの公園に行って読書でもしようと思った。

 最近英語の勉強が疎かになってしまっている。再受験では英語でもある程度稼ぐ予定のわたしとしてはこれは大変な事態なので勉強時間は増やしていく所存である。ちなみにライ麦畑の原著を買ったがこちらはちまちまと読んでいる。

 あつ森をやりた過ぎて狂い始めているわたしだが最近はシスター・クレアさんと戌亥とこさんのあつ森配信をよく観ている。戌亥とこさんを観るまではクレアさん一強という感情が強かったのだが、戌亥とこさんの飄々としているというか良い意味で雑な感じがあつ森と非常に親和性が高いことを知った。観ているとあつ森をやりたい気持ちがどんどん加速してしまうのでこれは一種の自傷行為である。

 六月の抱負は「よく学ぶ、自分の好きを追いかける、文章を書く、数学をやる!」みたいな感じで行こうかなと思います。よろしく〜。

五月十六日

 親戚から大学進学祝いを「自由に使いなさい」という言葉と共に頂いた。額を言うのは憚られるが、まあだいたい僕が「ノーリスクで自由に使える」と言われたら仰天するくらいにはデカい額である。有難いやら、後ろめたいやら、複雑な気持ちになってしまう。期待に応えよう! と意気込んでみたいものの、そうそう人間の本質は変わらない。


 お金の使いみちが基本的に本しかない僕のような人間はそんな額をもらっても大抵本へ消えていく(最近の例外はiPadくらいである)が、如何せんついこの間それなりの冊数の本を買ってしまったので頂いた進学祝いの出番がない。残念。いやお金は取っておいて損のないものなのだが……。僕は大学生兼受験生だから参考書というのも使い道としては立つのだが(例えば**会の過去問など)、僕がUT再受験生だと知っているのはツイッターのフォロワーと僕自身以外にいないわけで、純然たる進学祝いとして頂いたお金を参考書に使うのは道徳的に悪であるように思う。

 まあ買うとすれば数学の本が有力だと思う。ちょっと高いけど手元に置いておきたい本、森田さんの『代数概論』とか、『曲面の幾何構造とモジュライ』みたいな高いけどちょっと興味のある本とか、買っちゃうか〜〜〜て感じ。どうもどうも上流階級から生まれた上流階級太郎です。


 まぁ東大は理科が課題て感じですね。結局現役のときの課題とさしたる差はなく。頑張っていきます。合格して既成事実を作れば官軍なので。


 あと最近は小説に興味があって、色々な小説表現や、逆に言語哲学方面など色々と考えています。こっちはぼちぼち形として小説が書けたらいいねって感じ。僕の思想的興味は「言葉」にあるっぽい。


 まぁそんな感じです。学校がないので知的に満足できる最近の生活は結構嬉しいです。精神にとって非本質的な疲労を重ねなくていいので。

五月六日

 なんか書かないまま二ヶ月くらい経ってた。GW最終日。


 一応大学に入ったり遠隔授業を受けたりしているけど、小説書いたりとかあんまできてなくて、まあ理想通りの生活てあんまできないよねなんてことを思ったり。
 あと大学生と受験生の二足のわらじもなかなか難しい。

 まあこれからやりたいことというか、お絵描きと数学はやっていきたい。あとはぼちぼち読書してけばよいかな。

三月十四日

 色々ありました(雑)。あまり感傷もなく。
 全然関係ないが『安達としまむら』をよろしくお願いします。

高野悦子さんの『二十歳の原点』を読んでいます。この本は人生の節目節目で読んでいて、読む度に少し違う感想を持ちます。それは成長なのか、どうなのか。
 この本を読むと趣味の話以外で僕が日記で語っている内容を大抵上手く言語化していてなんとも恥ずかしい気持ちになる。

 僕のこの日記を丸暗記している人がもし居るなら、僕より僕に詳しくなっているのではないかと思う。

 最近、一人の人間が語りうることを大抵話尽くしたのではないかという感覚があり、でも本を開けばとても僕には書けないような美しい表現や知らないことが沢山あり、まだまだだよなぁという感情に気付く。

 とりあえず目の前の本を読み倒さなければなという気持ちです。あと受験勉強をします。再受験ですウオオオオ。
 頑張ります。
 以上! 短い!!

三月七日

 無気力だったりやる気があったりという状態が不定期なのが最近の悩みである。今も午前二時に日記を書いているがそういった生活習慣の乱れも一因かもしれない。午前二時といえば踏切に望遠鏡を担いでいき大袈裟な荷物を持ってきた『君』と天体観測をする時間である。いいよねえBUMP、天体観測だけは知ってるって人がいるくらいの曲だけどやっぱ支持されるだけのものがあるよね。 『天体観測』という歌は「現在、未来、迷い、人生、そういう明確な答えを持たないものの答えを追い求める」その姿勢を一心に歌い込んだものだと僕は解釈している(まぁ歌なんて聴いた側に解釈が委ねられるものでBUMPは特に広く解釈の幅があるし、個人的な話として聞いてね)。一番分かりやすいのはサビで「見えないもの」という抽象的な形で表されてるところですかね。「静寂を切り裂いて幾つもの声が生まれたよ」というのはそういう未知のものに対する可能性のことだと思っています。余談ですが現に私も来たる大学生活に対して明るかったり暗かったり様々なイメージがあります。この辺多分僕に似た人間はわかってくれると思うんですけど、「明日が僕らを呼んだって 返事もろくにしなかった」というのはまさにそういう未知からの声に呼応しない、聞くだけで応えない、夢を見て理想だけ持って現実を動かさないことだと思います。 同じBUMPの『宇宙飛行士への手紙』の中に「今が未来だった頃のこと」っていうフレーズがあって僕はめちゃくちゃ好きなんですが、「「イマ」というほうき星」に通ずる表現なんだなぁと最近思いました。
 未来への無根拠で現実離れした理想化を抱えて宙に浮いてしまったんですよね。

 今でも幸せの定義とか悲しみの置き場とか永遠の愛とか運命の出会いとか探しちゃうな。もっと言えば雪と赤いマフラーとか入道雲とか秋風に吹かれて帽子を押さえる君とか拗らせすぎた青春コンプレックスも探している。
 二番サビはさっきの話からすれば結構分かりやすくてあのとき聞いた声は成長しても「知らないもの」のままで「深い闇に飲まれないように精一杯だった」のに今は暗闇を照らすような微かな光を探してるんですよ。暗闇で、先が見えなくて、正しい方向なのかも分からない、その中でもがき傷付いた痛みを、抱いた理想に届かない痛みを覚えている。そういう歌です。

 背が伸びるにつれて〜というのは『君』と自分という喩えに「自分と探しているものとの自問自答や言い訳や鼓舞や泣き言など様々な言葉」を込めていると個人的に思います。ただ一つ、雨は降らないはずだったのに土砂降りで、泣き出しそうな君の手を握れなかったあの日を今でも思い出している。その詩から「見えてるものを見落として 望遠鏡をまた担いで」僕らが見えていたのに見落としたものってなんでしょう? 今が「イマ」となってしまった僕は、昔の自分が「見えなくて見ようとした」本来見えているはずのイマを見落としている。そんな僕らはもう一度ほうき星を見ようとする。隣に君はいないけど。幾つもの声が聞こえた静寂と微かな光を探した暗闇という、成長の過程で探したものをフラッシュバックしながら。結果的に思い描いていた、望遠鏡で見たものとは違うけど、随分違う場所に立っているけれど、だけれども、そうやって探し続けた、もがき続けた痛みは確かにここにあって、イマの正しさなんて分かりゃしないけど、その痛みだけは本物で正しくて……。
 そして最後、僕は「もう一度君に会いたくて」望遠鏡を担ぐ。「前と同じ午前二時」に。始めようか、天体観測。あのときとは思いの形も何もかも変わっているけれど、それでもきっと君は同じ空の下で「イマ」を探しているのだろう。どれだけ傷付いても理想がなきゃ僕らは先へ進めない。残酷なようだけれど。別の歌を引用すれば「僕が僕であるために」は「勝ち続けなきゃいけない」のだ、「正しいことが何なのかこの胸に分かるまで」は。
『天体観測』は、個人的にはこういう、理想との差で見落として正しさなんて答えなんて分からなくて傷付くのは怖いけど先へ進まなきゃいけなくて……そういう思いを抱えて答えを探すことを強く強く大切に歌った歌だと思います。大好き♡